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コラム-保育園の記録・資料作成をめぐる課題と業務効率化のポイント

保育日誌や連絡帳など 園の日常業務では作成すべき書類が多数あります。これらにより、思うように子どもと接する時間がとれない…と感じている保育士の方も多いのではないでしょうか。書類の作成や情報共有を効率化するには、ICTシステムやアプリを導入することが効果的です。導入によってさらなる保育の質の向上を図れますが、事前に対応が必要なポイントもあります。

今回は園の記録・資料作成における効率化の方法やメリット、おすすめのサービスまでご紹介します。

保育業務に関わる書類と課題

保育士は子どもの面倒をみながら多くの事務作業を行うことが必要です。書類作成や管理もその1つですが、これらの業務は保育士の負担やデジタル化といった課題に深く関わります。以下で、園にとっての課題を書類ごとにご紹介します。

保育日誌

園内の子どもの様子などを記録する保育日誌の記載項目は各園で異なるうえ、明確に決まっていないケースもあります。 紙に手書きで作成する場合は、一つあたりの保育日誌の作成に要する時間が長くなり、それが積み重なると保育士にとっては大きな負担となる恐れがあるでしょう。大きな業務効率の悪化につながる恐れがあるでしょう。また、「何を書いて良いのか分からない」、「上手く文章をまとめられない」と悩む保育士もいるため、保育日誌は毎日つけなければならないことを考慮すると、園全体の業務の品質・スピードの平準化にとっても課題になる書類の一つだといえます。

連絡帳

家庭や園での子どもの状況を伝える連絡帳ですが、記入する保育士は保護者が知りたい情報が何かを把握しないといけません。また、病気や怪我がないかなど、状況を正確に記入しつつも必要以上にネガティブにならないように伝える必要があり、保育士にとっても時間のかかる業務といえるでしょう。
そのほかの課題として、連絡帳の見落としから情報の伝達ミスが生じる可能性がある点や、保護者にとって記入が負担になることが考えられます。

発達記録

子どもの発達記録については、日々の様子や、保育日誌・連絡帳などの内容を元に、定期的に記録されていることと思います。一人ひとりのことを思い出しながら、時間をかけて対応している保育士さんも多い一方で、前回の記録や次回の保育計画、要録など、他の書類とうまく連携ができておらず、経営者の方のお悩みとなっているケースも多いと伺います。また、「主観的な記録になってしまっているのでは…」と不安に感じられている保育士さんもいらっしゃるようです。

行事などの計画表

園の行事やイベントをまとめた計画表を、月1回程度発行している園は多いですが、これらの業務も負担の一因になっているのではないでしょうか。
園側の課題として、年間計画通りに進行させることの難しさが挙げられます。例えば、天候や病気などの予期せぬ事態で計画が変更されることがありますし、食育や安全管理などの視点も考慮する必要があるでしょう。

登降園記録

子どもたちの登園・降園の時間を記録する書類で、安全確保のために欠かさず記録している園がほとんどですが、管理のために人的コストも必要です。
特に、紙にチェックを入れるなどアナログ管理する場合、多くの子どもを一度に対応する際は混雑でミスが発生しやすく、システムの活用などでそれらを避ける必要があります。

これらの書類管理は、子どもたちの安全や成長をサポートするために必要な業務といえます。 園での事務作業をスムーズに行うためには、紹介したポイントを把握し、適切な対応を心がけることが求められるのです。

園の書類・資料のデータ化のメリット

近年、多くの園ではICTシステムを導入し、記録や書類管理のデジタル化が進められています。先に紹介した事務作業の課題を解決し、業務効率と保育の質を向上させる可能性があるでしょう。
以下で、記録とデータ化の取り組みがもたらすメリットについてご紹介します。
続いて、数ある機能やICTシステムをどのように選定し、保育施設に導入すべきか紹介します。

業務効率化

まずデジタル化のメリットとして、保育士の書類作成における業務効率化が考えられます。従来の紙ベースの記録からデジタルベースに移行することで、外遊び中など園外からのアクセスや、職員間での同時共有が可能です。過去の書類の検索や転記などにかかる時間も削減できるため利便性が高まることで保育士の業務時間を節約し、園の課題の1つである業務負担とリソースの最適化を促進できるでしょう。

書類作成業務の負担軽減

書類作成を保育ICTシステムで行うことで、保育士が 園の記録を簡単かつ迅速に作成・編集・更新することが可能になります。これによって子どもとのコミュニケーションなどの業務に専念できる時間を増やせます。また、書類のミスも減るため、共有するデータの整合性を保つことができるでしょう。

データの見える化とPDCAサイクルの後押し

保育データのデジタル化は情報の透明性を高めることにもつながります。データの見える化を実施し、 園や保護者と共有することで、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルによる改善を円滑にできるでしょう。
PDCAサイクルにデータの活用ができれば、 課題の特定や、解決策の策定、効果のモニタリング、必要に応じて調整を行うというプロセスがさらに効果的なものになります。

保育の質向上

最後に、デジタル化は保育の質の向上をもたらします。 記録をデジタル化することで、子どもの発達や健康状態をより正確に把握することが可能です。これにより、保育士は子ども一人一人の得意なことや興味のあることによりきづきやすくなり、状況に応じて効果的なサポートをより一層提供できるようになるでしょう。

以上のように、 書類のデジタル化は、業務効率の向上や保育の質の向上といった多くのメリットをもたらします。保育士不足や業務負担の増加といった課題を抱える園にとっては、課題の解決だけでなく子どもたちにより良い環境を提供するための手段といえるでしょう。

園の書類・資料のデータ化のポイント

園の運営における書類作成と管理のデジタル化は、数多くのメリットをもたらしますが、ただ保育ICTシステムを導入すれば効果が得られる訳ではありません。成功のためには、デジタル化を進めるうえで考慮すべきポイントを押さえる必要があります。

利用者のリテラシーを考慮する

デジタル化に際して、実際にシステムを利用する園の職員や保護者のデジタルリテラシーを考慮することが重要です。まずは利用者が新しいICTシステムやアプリを効果的に利用できるように、簡単かつ直感的なデザインのシステムの導入が推奨されます。同時に、必要な研修やサポートが提供されているサービスを選ぶことで、保育データの記録管理の効率を向上させやすくなるでしょう。

各データの連携が不可欠

園のデジタル化においては、機能間でのデータ連携が不可欠です。これにより、情報の一元管理が可能となり、異なるシステムでデータを共有することができます。例えば、登降園記録データを連絡帳に自動で反映させる、保護者からの出欠連絡を保育日誌に反映させるなど、効率的な書類作成や分析につながります。
逆にシステム連携ができていないと、それぞれのシステムにデータを入力する手間がかかるため、従来よりも業務負担が増える可能性もあるでしょう。

紙の書類の電子化も対策が必要

ICTシステム導入の際は、従来の紙の書類を電子データに変換し、適切な移行を図る必要があります。AI-OCR(※1)を使用することで、手書き文字をデジタルデータにしやすくなるでしょう。
ただし、セキュリティやプライバシー保護などの対策も必要です。 記録に含まれる機密情報や個人情報の流出は、保護者の信用に大きく関わるため避けなければなりません。適切なデータ管理とアクセス制御を導入することで、 情報漏洩や不正アクセスのリスクを軽減しましょう。

※1:紙の文書をスキャナーなどで読み込み、書かれている文字をAIが認識・判別することでデジタル化する技術

データ管理の省力化を意識する

最後に、データ管理の省力化も目指すべきポイントとして挙げられます。システムの検索機能を利用することで書類を探す手間を省き、子どもの保育情報は最新のものに一括更新も可能です。また、RPA(※2)のような自動化ツールや、クラウドベースのシステムを導入することもデータ管理の省力化に効果があります。 各園の業務プロセスに合わせて、適切にシステムを導入・活用しましょう。

※2:プログラムやAIを利用することで、これまで人が行ってきた事務作業などを、コンピューターが代行・自動化できるようにした技術

このように、書類と資料のデジタル化は、いくつかのポイントに注意する必要があります。利用者のリテラシー考慮やデータの連携などによって、「システムを導入したが使われない」といった状況を回避できるでしょう。同時にセキュリティにも注意を払い、保護者の信用を失わないように心がけることが大切です。

業務効率化と保育の質を向上するサービス例

園の記録に関する書類作成を効率化するには、使いやすいICTシステムを導入することが必要です。今回は、機能だけでなくユーザーの使い勝手も意識したBIPROGYの保育ICTシステムをご紹介します。

ChiReaff Space®

ChiReaff Space(チャイリーフスペース)は保育業務を支援するクラウドサービスです。今回ご紹介した、保育日誌や指導計画作成、 登降園管理といった保育業務を網羅しており、導入によって保育情報のデジタル化のメリットを享受できます。

そのほか請求管理や保育士のシフト管理も本システムで対応可能です。これらを自動化することで、日常の書類作成業務と合わせて事務作業を大幅に削減でき、保育環境の改善にもつながります。
保育業務のデジタル化が進んでおらず、まとめてICTシステムによる効率化を目指す保育施設におすすめのシステムです。

mierun®

mierun(みえるん)は保護者とのコミュニケーションに強みを持つ連絡帳アプリです。スマートフォンから子どもの様子を簡単に入力、写真付きで報告できる機能に加え、重要連絡の配信ができるお知らせ機能、150の言語に対応した翻訳機能が特徴となっています。
お知らせ機能は既読確認もできるようになっており、従来のメールでは全員に行っていたフォロー連絡も対象を絞り込めるため、4時間かかる業務が15分になった事例もあります。

実際に活用する保育士と保護者にとって、使いやすい画面や機能を続々と更新しており、まずは連絡帳を含む保護者とのコミュニケーションから業務改善をしたい保育施設におすすめのアプリです。

ChiReaffとmierunは連携して使うことにより、朝の遅刻欠席連絡から、出欠状況の確認などの負荷を大幅に軽減し、園内での共有も漏れなくできるようになります。

園の事務作業はICTシステムで効率化

今回は日々の保育業務で作成が必要になる書類をご紹介しました。作成する書類は多岐に渡り、なかには保育士の業務負担の一因になっているものもあります。
保育ICTシステムを導入することで、書類作成の負担を減らすことが可能です。それ以外にも、保育情報のデジタル化によってPDCAサイクルの効果を高め、保育の質を向上させることができるでしょう。

ICTシステムの導入時には、利用者のリテラシーも考慮した使いやすいシステムやデータ連携も可能かどうかチェックする必要があります。「システムを導入したが逆に負担が増えた」という状況に陥らないよう、 園の業務プロセスに合ったICTシステムやアプリを導入することが大切です。

*ChiReaff Space、mierunは、BIPROGY株式会社の登録商標です。
*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。